子宮内膜症について
平成23年7月27日
博多セントラルクリニック
日野大樹
不妊の原因に子宮内膜症が考えられる時、どの時点で腹腔鏡や開腹の手術をするのか、年齢という絶対条件をにらみながら、どの時点から体外受精に進むのか、が問題になってきますが、なるべくならば、手術や体外受精は避けたいところです。
この度、子宮内膜症について、当クリニックから福岡の働く女性に向けてのメッセージを、アヴァンティさんに託すことになりました。以下、取材に応じての原稿です。
QandA 子宮内膜症について
以前にはなかった生理痛や生理が始まる少し前からの痛み、あるいは女性ホルモンが高くなってきた時、排卵日の頃ですが下腹部の突っ張る感じや腰が張る感じ、また子宮の疼くような症状がでてきたならば、子宮内膜症を疑います。
子宮内膜症は子宮内膜とその類似組織が本来の子宮内膜以外の場所で異所性に発現する病気です。
上記のような症状は子宮内膜症の出かかりとして骨盤腹膜の「炎症」反応と考えられます。この状態は受精を妨げてきます。
不妊症を予防していく上で、ここで治療に入りたいのが私の現場感覚ですね。このほんのなり始めに症状を強く訴える方がいらっしゃいます。
あるいは逆に、症状があるのは一ヶ月のうち数日ですし、毎回ではないし、また今以上に不自然な性を強いられるのはご免こうむりたい、と我慢されやすい病気でもあります。
数年前は、副作用の強い薬しかなく、一旦治療を終えた後でも再発するのがほぼ必発でした。
初期の患者さんには、見ね見ぬふりをするか、大丈夫ですよ、早めに妊娠を頑張りましょう、と励ましてやるのが親心でした。
進んでくると性交痛がでてきます。これには精神的に追い詰められることがあります。
やがて、腹膜の播種状の目に見える組織としてブルーベリースポット、卵巣のうしゅ、ダグラスかのコウケツ癒着が出てきます。
こうなると手術を考える段階ですが、こうなる前に治療したいですね。
最近なかなかいい薬が出てきました。以前の薬のようなキツイ副作用はありません。あってもわりと楽にコントロールできます。
手術をしなければならない患者さんは減ってくると思われます。決して安い薬ではないのですが、まずは三ヶ月間服用してもらいます。